熱損失係数の特徴


利点
住宅全体で断熱性能を判断するため、断熱的に弱い部位もカバーできる
工法によっては、ある一定以上の断熱強化できない部位があります。このような部位があった場合でも、熱損失係数は住宅全体で断熱性能を判断できるため、基準をクリアしやすくなります
仕様基準では基準をクリアできない場合でも熱損失係数でクリアできる場合がある
熱貫流率などの仕様基準は、熱損失係数などの性能基準よりも安全側になっているため、熱損失係数の方が基準をクリアしやすくなっています。また、熱損失係数の場合、住宅全体で基準をクリアしていればよいので、部分的に断熱性能が弱い部位があっても、それをカバーすることができます。
熱抵抗値で基準をクリアできない場合、断熱材を厚くしたり(または断熱材の種類を変えたり)、窓の断熱性能を高める以外に基準をクリアすることができませんが、熱損失係数で基準をクリアできない場合、例えばあまり必要のない窓をなくす(または面積を小さくする)ことで基準をクリアする場合もありますし、住宅を高気密化する(換気回数を少なくする)ことで基準をクリアする場合もあります。
このように熱損失係数は柔軟な対応が可能です。
面積や換気量などを考慮できるため、より実際に近い断熱性能を把握できる
同じ工法の住宅でも、住宅の表面積、窓面積、換気量などにより、断熱性能は異なってきます。熱損失係数では、これらを考慮することができるため、より実際に近い断熱性能を把握することができます。
補正基準を適用できる
パッシブソーラー住宅や小規模住宅の場合は、計算によって補正基準を適用できるため、基準をよりクリアしやすくなります。
外気側通気層・熱交換型換気システム・断熱戸を考慮できる
平成11年省エネ基準などでは、これらのシステムが住宅にある場合、熱損失係数の計算方法に規定がありますので、これらのシステムを考慮することができます。
様々な工法に対応できる
仕様基準では、基準の一覧にない工法については判断することができません。そのため、一般的な工法にしか対応することができません。熱損失係数は、ある程度柔軟な計算が可能なため、仕様基準よりも広範囲の工法をカバーすることができます。
欠点
  • 計算に時間がかかる
  • 計算量が多い
  • 部位ごとに計算方法が異なる
  • 面積・気積を計算する必要がある
  • 省エネ基準の細かな規定を理解する必要がある
  • 計算書などの書類を多く作成しなければならない


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