熱損失係数を計算しましょう


平成11年省エネ基準が施行されたあたりから、熱損失係数(Q値)に対する関心が非常に高まってきています。さらに住宅性能表示制度が浸透している現在では、熱損失係数に対する関心は高まるばかりです。近年では住宅着工数の冷え込みにより、ビルダーとしては厳しい状況が続いていますが、住宅性能をアピールすることによって成功しているビルダーもあり、熱損失係数などの数値で断熱性能をアピールできる方法も注目を集めています。


なぜ熱損失係数を計算しない?
熱損失係数を必要としていない
型式認定や仕様基準で省エネ基準や性能表示を判断しているため、熱損失係数の計算は必要ないと考えている。または、住宅金融公庫の割り増し融資や住宅性能表示制度を利用しないビルダーは、熱損失係数の計算などする必要がないと考えている。
計算する時間がない
熱損失係数の計算は、計算量が多いために時間がかかります。
特に慣れていない方が計算すると、省エネ基準の基準書などを何度も読み直したり、計算を間違えて計算し直したりすることが多くなるため、さらに時間がかかるようです。
熱損失係数の場合、計算自体にも時間がかかりますが、計算量が多いため計算書などの書類の作成にも時間がかかりますし、また、計算が間違っていないかをチェックするための時間も必要です。
そのため、熱損失係数の計算は人件費がかかるとして、熱損失係数の計算をしない。
計算の仕方がわからない
計算が難しいと思っている
熱損失係数を計算する場合、(財)建築・環境 省エネルギー機構発行の「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」という基準書に、詳しく計算方法や規定などがかかれていますが、熱損失係数を計算する場合にはまずこの本を一読する必要があります。この本は内容が専門的で、ページ数も多いため、熱損失係数の計算をあきらめてしまっている。
熱損失係数を計算してみましょう
省エネ基準や性能表示で住宅の断熱性能を判断しようとした場合、各部位の熱抵抗値などから判断する「仕様基準」と、熱損失係数などから判断する「性能基準」の二通りがあります。
今までご説明したとおり、仕様基準で判断するよりも性能基準で判断した方が有利な点が多くなります。また、型式認定などを取っている場合でも、住宅一棟一棟は間取りや窓の大きさなどが異なりますので、熱損失係数も異なります。そのため、一棟一棟の熱損失係数を計算することは、住宅の断熱性能を設計段階で確認することができ、よりよい住宅を建てるためにも役立ちます。
熱損失係数の計算が不利な点は、計算に時間がかかることや計算に知識が必要とされる点などです。これらの不利な点は、専用のソフトを使用することで、非常に簡略化することができます。
熱損失係数を計算することは、住宅の熱的環境を理解することにも役立ちますし、熱的な弱点や過剰な材料の使用などを抑制することができ、数値で住宅の断熱性能をアピールすることができます。
まだ熱損失係数を計算したことがない方は、ぜひ一度、熱損失係数を計算してみてください。また、以前熱損失係数を計算してみて、非常に面倒であったり、時間がかかった方はぜひ専用ソフトをお試しください。


省エネ判断2 熱損失係数・夏期日射取得係数を計算できるプログラム
「省エネ判断」 for Windows XP/Vista


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