なぜ「省エネ判断」が必要?


1.時間短縮・人件費削減
一般的に、熱損失係数(Q値)や夏期日射取得係数(μ値)の計算は、下記の2点のために使われることが多いのではないかと思います。
  • 住宅金融公庫の割り増し融資の書類作成
  • 住宅性能表示制度の書類作成
熱損失係数計算などでこれらの書類を作成するためには、図面から寸法や仕様を拾い、省エネ基準の基準書などからデータを読みとり、部位ごとに細かな計算を行わなければなりません。そして、これらの計算過程や結果を、計算書として書類にまとめなければなりません。熱損失係数などの計算や書類作成にかかる時間は、手計算や表計算ソフトを使用した場合、個人差がありますが、かなり時間がかかります。
これらの時間は「省エネ判断」を使用することで、大幅に短縮することができ、人件費を削減することができます。
2.専門的な知識がなくても計算可能
熱損失係数などの計算は、省エネ基準などの基準書を十分に理解する必要がありますが、基準書の内容は専門的であり、内容も膨大なため、敷居が高いと考えられている方も多いようです。
「省エネ判断」では、入力をできるだけ簡単にするために、必要最小限の入力になるよう工夫されています。また、入力支援ソフトとして「間取り作成」ソフトが付属しているため、あまり建築に詳しくない方でも、「省エネ判断」のデータを作成することができるようになっています。
入力方法参照)
3.計算間違いの防止
熱損失係数などの計算は、各部位ごとに使用する係数や計算方法が異なったり、同じ部位でも断熱方法などにより計算の仕方を分けなければならないため、計算方法を間違っている方も多いようです。また、夏期日射取得係数の場合、窓の日射遮蔽や庇などの計算があるため、計算量も多くなり複雑になります。計算量が多くなれば、単純な計算間違いも多くなる可能性があります。
「省エネ判断」では、入力に間違いがなければ、後はソフトが計算しますので、計算間違いや計算方法を意識する必要はありません。
4.有利な計算
熱損失係数などの計算の場合、条件によっては、単純に計算するよりもより有利に計算できる場合があります。例えば「熱回収型換気システム」「外気側通気層」「断熱戸」などのシステムが住宅にある場合には、より有利に計算する方法があります。また、次世代省エネ基準などの基準判定では、「パッシブソーラー住宅(熱容量があり、日射を積極的に取り入れる住宅)」「小規模住宅」などの場合は、補正基準を適用することができるため、より基準をクリアしやすくなります。
このようなことをいつも意識しながら手計算することは、見落としや計算間違いにつながりますので難しくなりますが、「省エネ判断」では使用しているシステムをチェックしていただいて、最低限の入力をするだけで、これらの有利な計算を行うことが可能になります。
仕様基準で省エネ基準などを判断しているため、熱損失係数などの計算を必要ないとしている方も多いかと思いますが、一般的に仕様基準の場合、熱損失係数などを計算する性能基準よりも、安全側の仕様になっていますので、仕様基準でクリアできない場合でも、性能基準ではクリアできるということがあります。
そのため、「省エネ判断」を使用して、性能基準で判定することにより、基準をクリアしやすくなります
5.設計サポートツールとして
従来経験と勘に頼って断熱仕様を決定したり、仕様基準だけで住宅の断熱性能を判断していましたが、これでは本来の住宅の省エネ性を判断することはできません。
例えば、仕様基準では面積を考慮することができませんので、極端に窓面積が大きい住宅でも、基準をクリアすることができますが、このような住宅では、いくら断熱材を厚くしても、夏は窓からの日射が入り、冬は窓からの熱損失が大きくなりますので、十分な省エネ効果が期待できません。
「省エネ判断」を断熱仕様や、窓や間取りなどを検討するための設計ツールとして使用することで、より的確な省エネ性を実現することが可能になります。
手計算の場合、計算に時間がかかるため、一度計算してしまうと、条件を変えての再計算は大変ですが、「省エネ判断」では、入力を変えて計算を繰り返しても時間がかかりませんので、コストと省エネ性を十分に検討することができます。
「省エネ判断」には、手計算では難しい庇の効果を判定できる「庇判断」というソフトが付属しています。庇は夏の日射を遮り、冬の日射を取り入れることができるため、日射制御には非常に効率的です。住宅に効率的な庇を取り付けることで、より効果的な省エネ性を実現することができます。
6.省エネ性能のアピールに
近年は、住宅着工件数の大幅な減少により、住宅産業全体が非常に厳しい時代です。このような時代には、他社との差別化のために、自社の優位性を積極的にアピールすることが効果的でではないでしょうか。
熱損失係数・夏期日射取得係数の計算は、住宅の省エネ性を数値で明確にアピールすることができるため効果的です。例えば、省エネ基準をクリアしていることを示すことでお客様に安心感を与えることができますし、他社工法との熱損失係数などの比較表を作成してアピールすることができます。
「省エネ判断」では、熱損失係数などの計算を短時間に行うことができるため、簡単に熱損失係数などの比較表を作成することができますので、断熱性能のアピールなどには効果的です。
7.住宅の熱環境に強くなる
コストだけを重視するお客様には、薄利多売が可能な大手メーカーが優位になりますが、住宅の環境性能を重視するお客様には、住宅性能が重要になりますので、年間着工数が少ない工務店などでも十分対抗することが可能ではないでしょうか。このようなお客様は、ご自分たちでいろいろ勉強をされていますので、ビルダー側も住宅に関する知識が重要です。このようなお客様は、住環境に詳しいビルダーを捜しているということがいえますので、知識があるビルダーは、それだけ優位になれる可能性があります。
最近では、一般の方が読む住宅雑誌などでも、Q値(熱損失係数)、K値(熱貫流率)、C値(相当隙間面積)などの説明があり、各工法の特徴や住宅の4要素の重要性を記している雑誌もありますので、ビルダーとしては、様々な質問にも答えられるように、十分な専門知識が必要になります。
「省エネ判断」では、熱損失係数などの計算書を見ることで、断熱性能などの計算方法を理解することができますし、「熱損失量割合グラフ」や、「庇判断」「窓面積率」などの住宅の熱環境に関わる計算機能がありますので、熱環境の知識を得るためにも役に立ちます。


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